「5本の竹を転がしておいただけだったので、5本の竹を針金で結び付けて、パワーグッズとしての構造を変えてみました。」

「同じ1メートルの竹でも、針金で結んで筏のような構造にするとパワーが上がるのですか」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それで、どういう結果になったのですか」と町会長。

「父イノシシは、2度と庭に侵入することはありませんでした。」

「それでは、針金で結んで筏のような構造にすることで、陰のパワーが上がったことになりますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「その後、父イノシシはどうなったのでしょうか」と町会長。

「1カ月ほどしたとき、栗林の中にうり坊が掘ったような小さな線をみつけましたが、その後イノシシの堀跡を見ることはありませんでした。」

「暖かくなって餌が増える時期に体力が低下してしまうようでは、渡辺さんが言ったように、父イノシシは先が長くないということですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「それでは、金モクセイの後ろの苔に1メートルの線を掘ったのは、最後の意地を見せたということになりますね」と町会長。

「おっしゃる通りです。」

「ところで、母イノシシはどうなったのですか」と町会長。 

「先ほど話したように、母イノシシの情報は、何も手に入っていません。しかし、年上の2匹のうり坊の行動から、母イノシシは、父イノシシが泥浴び場を掘れなくなると、子供たちを連れて、大きな泥浴び場を掘ってくれる強いイノシシのところに行ってしまったのだと推測しています。」

「泥浴び場は、うり坊がミミズを食べるのに必要なのですね」と町会長。

「多分、そういうことではないかと推測しています。」

「それで、父イノシシは、今回、単独で現れたということですか」と町会長。

「そうなんですよ。」

「それでは、一番下のうり坊は、2、3週間に1度母イノシシの下を離れて、渡辺さんの庭に来ていたということになりますね」と町会長。

「多分、そういうことではないかと推測しています。1番下のうり坊は後ろ向きで侵入できることを発見したのが自慢だったのだと思います。」

「それで、1番下のうり坊だけ渡辺さんの庭に来つづけたのですね」と町会長。

「おっしゃる通りです。1番下のうり坊が後ろ向きで侵入した翌日の夜、卓球場に行こうとしたら、東側の茶ノ木の向こうでうり坊が自慢げに話をしているのが聞えたのです。」

2021/11/12

<水道後記61>
『可とう』という言葉は聞き慣れない言葉で、わざわざ聞き慣れない言葉を使うからにはそれなりの理由がある。goo辞書の『可撓性(かとうせい)』には、『物質が外力によって、しなやかにたわむ性質』という説明がある。

この言葉が分かりにくくなるのは、『SKX伸縮可とう離脱防止継手』のような金属製の継手の名称や機能の説明に使われた時だ。ゴム製の継手というのもあるが、この場合『可撓性(かとうせい)』があると言われれば直感的に理解できる。

『SKX伸縮可とう離脱防止継手』は、アマゾンなどで売られているポリエチレン2層管用の金属製継手と比べると大きくてごっつい。『こんな継手がたわむはずがない』と普通の人間は思ってしまう。だから、『可撓性(かとうせい)』という聞き慣れない言葉を使うのだろう。このごっつい継手を『SKX伸縮してたわむ離脱防止継手』としたら、一見しただけで、納得できない人が多いに違いない。そのため、『可とう性』という聞き慣れない用語を使うのだろう。<続く>

2024/10/29